ポケモンについて

ポケモンについて

メリッサ(ポケモン)、ペトラ(FE)、クイナ(FF)から見る、カタコトキャラのセリフ英訳

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クイナアルよ


はじめに

 

 先日ブリリアントダイアモンドをドイツ語でやっていると、ジムリーダーのメリッサの喋り方が結構面白いことに気付きました。こんな感じです。

“Du willst misch also  ‘erausfordörn, oui? Bien, so soll es sein. Doch die Gewinnerin werde isch sein, c’est moi! Das ist schließlisch meine Aufgabö als Arenaleiterin, non?”

 これは「私に挑戦したいの?いいけど私勝つよ?だってジムリーダーだからね!」という趣旨の文章です。所々フランス語が入っていたり、ドイツ語特有の”ch”が”sch”になっていたりと、綺麗なドイツ語では無いことが分かります。無音のh的なものもありますね。恐らく強いフランス語訛りだとこんな感じになるのでしょう。

 メリッサは日本版でも、「海外から最近来たジムリーダー」という設定があるので、いわゆる「デスマス」的な片言口調で話します。

 さて、ポケモン以外のゲームにも、メリッサのような片言口調で話すキャラクターは沢山います。そうしたキャラクターは翻訳(今回は英語に)されたとき、どのような英語を話すのでしょうか。比べたら面白そうだったので、今回年始の暇に任せて調べました。

・調査対象のキャラクター

 いざ対象のキャラクターを探してみると、意外と数が少ないことが分かりました。

「片言キャラなら沢山いるじゃんねえ」と思う人もいるかもしれませんが、そう簡単ではありません。遊戯王でいうペガサスのような、「日本語が完璧でないために片言になる外国人キャラ」の場合は、英語に訳されても変な英語を話すことはないでしょう。

そのため

・作中に「日本」という国の概念が無い世界観にいるキャラクターであること

・その世界の標準語が完璧でないので、片言になっていること

が条件となります。 

 今回自分のせっまいせっまい記憶から掘り起こして、条件に合う調査対象を3キャラクター用意しました。それがタイトルにもある、

・メリッサ(ポケモンBDSP)

・ペトラ(FE3H)

・クイナ(FF9)

になります。

・調査手法

 これが大学の論文とかだったら、彼女らが話しているセリフを全部起こして、プログラムに食わせてなんやかんや…となるのかもしれませんが、どっこいこれは全部趣味です。そのため、私が適当に見つけた彼らのセリフをなんやかんや比べてみることとします。

・メリッサ

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 ドイツ語版だとフランス語訛りだったメリッサですが、英語でもこの傾向は同じです。

“They hold contest shows in this city? I say to myself, enfin, I will excel. That is why I dress this way. C’est une performance! Also I study Pokemon very much. I have come to be Gym Leader.And uh, so it shall be that you challenge me. But I shall win. That is what a Gym Leader does,non?”

 対戦前の会話です。ドイツ語で引用した箇所よりも前から引用してみました。

見てみると、意味は伝わるけど、文法これでいいんだっけ?というものが散見されます。

“I dress this way”や、”it shall be that you challenge me”がその例です。私も文法に超詳しいというわけではないので、断言が出来ませんが、なんか変な感じがします・

 また、時制も少し砕けています。日本語版では、「ポケモンのことも べんきょーした。そしたら シムリーダー になりました。」という文章なんですが、”I study Pokemon very much”となっているので、意図的に過去形を使っていないのだと思います。

 あと、フランス語訛りはドイツ版のほうが強かったような気がします。理由は分かりません。ただ、フランス語自体はちょっと入ってますね。

まとめると、メリッサの片言要素は

・不自然な文法

・時制が合わないときがある

・ちょいちょい挟むフランス語

になるかと思います。ちなみにフランス語版のメリッサは、英語訛りで話すそうです。

 

・ペトラ

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 ペトラは、「ファイヤーエムブレム 風花雪月」に登場するキャラクターです。このゲームはフォドラという大陸が舞台のゲームなんですが、ペトラはそのフォドラの西方に位置するブリギットという島の出身という設定があります。そのためフォドラ語が不自由なのか、ゲーム内では片言で話します。

 

 今回はペトラとアッシュの支援会話の中から、ペトラのセリフをいくつか抜粋することで考察したいと思います。理由は私がアシュペトを好きだからです。

 

“We are needing vulneraries. Many people make use of them and our stock is lowly”

-「傷薬、必要です。使う人、増える、足りなくなる、現状です。」

 

“I am having an idea. When this war is over, we should be going to Brigit... with each other.”

-「わたし、名案あります。戦争、終わる、ブリギット、共に、行きましょう。」

 

“I gave you this promise, I hope you are understanding.”

-「約束します。あなたに、知ってほしい、です。」

 全体的に、ペトラはing形を多様する傾向にあります。”we are needing”だったり、”you are understanging”だったりが例です。

 ペトラは日本語版では、「○○する、しています。」とか、「○○する、します。」といった話し方をすることが多いです。恐らくこの「○○する、」で区切る部分を、動詞をing形にすることで表現しているのでは無いでしょうか。

 また、足りなくなるという意味でlowlyという地位の低さを表す語を使っていたりと、単純に意味と少しだけ違う、みたいな単語を使うこともあるようです。これについては、私もネイティブではないので、多く見つけることはできませんが…

 

まとめると、ペトラの片言要素は

・不自然なing形の多様

・本来の意味から少し外れた単語の使用

 

になるかと思います。

・クイナ

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 クイナはff9に登場するキャラクターです。そもそもff自体がいろいろな種族が出てくる世界観なのですが、クイナはク族という、その世界観のなかでも謎多き種族の一員です。ちなみに見た目はだいぶ可愛いです。

 そんなクイナは、「~アル」という、いわゆるエセ中国人的、協和語的な喋り方をします。

 今回はクイナのセリフを探すにあたり、FF9の日英対訳をまとめた素晴らしく勉強になるサイトがあったので、それを参考にしました。記事の最後にURLを貼っておきます。

 

  "Good food not only delicious!"

  "Good food made with heart!"

  "This very important when cooking for friends!"

  -「味だけ良いのが本当の料理じゃないアルね~」

  「心をこめて作ることがとても大切アルね~」

  「大切なトモダチに出す料理は、なおさらアルね~っ!」

 

  終盤のセリフです。 クイナみたいなキャラがこういうこと言うのが一番涙腺にキたりします。さて、英語を見てみると、文法はだいぶ砕けたものになっています。動詞が抜けていることが一目でわかります。

 クイナの文章には他にも、主語が抜けているものも多く存在します。主語や動詞を抜くことで、クイナの正体不明な感じや、それでいて幼い感じをだしているのかもしれません。

 

クイナの片言要素は

       ・主語、動詞が抜けている

になるかと思います。ビビクイナすき(唐突)

キャラ同士の比較

☆メリッサとクイナ

  メリッサは英語版、ドイツ語版では、フランス訛りの英語を話します。対してクイナは日本語版において、中国人っぽい話し方をしています。メリッサの英語をみてみると、所々フランス語が入り、フランス語訛りであることが一目でわかります。

  対して、クイナの英語では、主語と動詞の欠落で片言を表現しており、中国語要素は見られません。この違いはおそらく、フランス語と中国語の、英語に対する距離の違いに起因すると思われます。フランス語は英語と由来も近いので、英語の文章にフランス語が入っても文章は破綻しません。ただ、中国語はそもそもアルファベットでもないので、英語に違和感なく混ぜる、ということができません。

☆ペトラとクイナ

 日本語版のペトラとクイナを比べてみると、クイナの方が流ちょうな日本語を話しているように感じます。語尾にアルってつけてる以外は、ほぼほぼ完璧な日本語だからです。ただ、英語版になるとお互い砕けたものながら、ペトラの英語の方が文としての完成度は高い気がします。クイナの英語は、文で一番大事な主語や動詞な抜けることもおおいですしね。

 これは恐らくですが、キャラの性格などを考えて、翻訳者の方が訳した結果ではないかとおもいます。勉強熱心で真面目なペトラの方が、奔放で子供っぽいクイナよりもしっかりした英語を話すことは、なんとなくしっくりくるように思えます。こう見ると、キャラの性格も、翻訳の重要な要素であることがわかりますね。

 

おわりに

 今回は片言を話す3キャラを対象に、そのキャラの英語版を調べて比べてみました。

 今回調べて強く感じたのは、「ある程度文法が砕けてても全然通じるんじゃん」ということです。クイナの英語なんかには英語習いたての子供でも指摘できるミスがありますし、ペトラ、メリッサにも文法ミスがあります。

 ただ、私は非ネイティブなのでわかりませんが、恐らく英語ネイティブの人も、彼女らブロークンな英語を見て、おおよその大意を理解し、ゲームをプレイしているんだと思います。でなければ海外でFE3HやFF9は人気になってないでしょうし。

 そういうことなので、月並みではありますが、自分も含めて文法に不安がある人もガンガン単語が出てくるままに話せばいいんだと思います。ネイティブの人には片言に聞こえるかもしれませんが、大体伝わっているんじゃないでしょうか。

 

参考文献

 ☆FF9の日英比較がまとめられたサイト

           http://lunar.littlestar.jp/stardust/english/FF9/index.html

 

 ☆森カリオペのポケモン英語実況(英語メリッサのため)

 

 ☆マリン船長のポケモン実況(日本語メリッサのため)

 

 ☆アシュペトの日英支援会話動画